Availとは?
Availはブロックチェーンを拡張するために設計されたデータ可用性 (Data Avaliability) レイヤーを持つモジュールブロックチェーンです。
また、このプロジェクトはPolygonの共同創業者でAvailの開発を主導してきたAnurag ArjunがPolygonを離れて独立したプロジェクトです。
Ploygonから分離したプロジェクトではありますが、Polygonとは密に連携しておりPolygon CDKを使って作成されたzkEVMチェーンはEthererumの代わりにAvailをデータ可用性 (Data Avaliability) レイヤーとして利用する選択肢を取ることもできます。
また、Polygonからの離脱の際にはAnurag Arjunのチームメンバー全てがAvailの別会社に移り、自己資金にて実施していることもあり、現時点ではベンチャーキャピタルから投資を受けていないプロジェクトでもあります。
Polygon 共同創業者 Sandeep Nailwalとは良い関係を維持しており、Availに出資する可能性についても示唆しています。
また、Anurag Arjunの資金にて動いているプロジェクトではありますが、最終的にはコミュニティ所有のプロトコルになることを目指しています。
データの可用性とは、ブロック作成者が当該ブロックに関するすべてのトランザクションデータを公開し、
このトランザクションデータをネットワークの他の参加者も利用可能であることを保証することです。つまり、提案された変更が他のノードで計算した変更と正確に一致することを確認することにより、受信した情報が正しいことを独自に検証できるというものです。
[復習] データ可能性 (Data Availability) とは
これにより悪意のある不正なデータ (自身に大量のTokenを送付する) やデータの欠落 (自身に不都合のある処理を削除する) ことを防ぐことができます。
Availの特徴
Validium
EthereumやL2でのユーザ活動が増えるほど、Ethereumのデータ領域は逼迫します。
また、EthereumではBitcoinと異なりブロックあたりのブロックスペースが固定化されておらず、
ブロックサイズ=全トランザクションのgasLimitの合計となっており、より多くのブロックスペースを確保するにはより多くのGas代が必要になります。
これはEthereum自体の構造上の問題であり、L2を利用しても多くのユーザが利用している状況下ではGas代が安くならない問題に直結しています。
実質多くのL2のコストは、トランザクション データを公開するための L1 への支払いで占められており、L2のGas代としてL2のネイティブトークンでの支払いを許可しにくい構造を生み出しています。
Availはデータ可用性をオフチェーン (Ethereumの外)に切り出すことで、スケーラビリティと低コストを提供し、新しいL2、L3チェーンを作成する際により良い選択肢を提供します。
その一方で、データ可用性をEthereumで担保しているMonolithic Chain (Ethereum自体)や、Rollup (Arbitrum, Optimism, Stakenet, Scrollなど) と比較してセキュリティが弱くなるリスクがあります。
BABE + GRANDPAのコンセンサスを採用
データ可用性 (DA)の領域として、CelestiaやEigenLayerなど競合がいます。
Polkadot SDKから継承したBABE + GRANDPAを利用することで、競合と比較して耐障害性の強さと分散性の向上というメリットがあります。
Availの特徴
Availでは最大1000 人のバリデーターをサポートできます。
BABE はブロック生成エンジンとして機能し、バリデーターノードと連携して新しいブロック提案者を識別することでネットワークの活性度を優先します。
GRANDPA はファイナリティとして機能し、バリデーターの2/3以上がそのブロックを含むチェーンを証明するとすぐに特定のブロックに至るまでのすべてのブロックを同時にファイナライズすることができます。
このハイブリッド台帳により、Avail はネットワークの復元力を備え一時的なネットワークの分断や多数のノード障害に耐えることができます。
Celestiaの特徴
Celestia では、Tendermint (Cosmosコンセンサス) を使用するという設計上の選択により、ブロックが生成された際に即時にブロックが完成される即時性のファイナリティを要します。
一方でバリデーターの 1/3以上がダウンしたときにチェーンが停止するリスクを内在しています。
また、バリデーター数も数百まで上限値となっています。
EigenLayerの特徴
EigenLayerが提供するEigenDAはオフチェーンDACです。
[復習] データ可能性委員会(DAC)とは
データ可能性委員会(DAC)は、データの利用可能性を供給または証明する責任を負う組織です。
DACは員会メンバーの1人、または超多数がデータが利用可能であることに同意していることを示します。
AvailやCelestiaと異なりデータ可用性およびDACについてもEthererum上で完結するため、
うまく機能すればAvailやCelestiaと比較してEthereumと同じレベルのセキュリティを担保しながら
スケーラビリティと低コストを実現できる可能性があります。
ただし、EigenLayer は、ネットワークをサポートするためにすでにステーキングされたEthereum (stETH, rETHなど)を再利用しており、
この仕組みはValidatorとコンセンサスを過剰に担保するリスクがあり議論を呼んでいます。
Token情報
Availでは、tokenomics (仮想通貨の供給、需要、流通、評価に関する情報)が出ていないため発行の有無についても不明な状況です。
しかしながらテストネットにおいてはAVLと言われるトークンが発行されており、
Avail創業者のAnurag Arjunもコミュニティ所有のプロトコルになることを目指していることから、
将来的にはトークン発行の可能性が高いと思われます。
競合であるCelestiaを参考にすると時価総額が$680,758,646 程度 (2023年11月14日 CoinGecko) であり、意識される指標になるを想定されます。
また、Availはベンチャーキャピタルから投資を受けていないプロジェクトになるため、
その分コミュニティーに還元されるのか、Availチームが中央集権的にTokenの多くを所有することになるのかという点が、
分散性において大きく意識される観点になると思われます。
まとめ
Availはブロックチェーンを拡張するために設計されたデータ可用性 (Data Avaliability) レイヤーを持つモジュールブロックチェーンです。
また、Polygonの共同創業者が率いているプロジェクトということもあり、経験、実績共に豊富なチームメンバーが率いており
データ可用性レイヤーのメインプロダクトになる可能性を秘めています。
- データ可用性 (Data Avaliability) レイヤーを持つモジュールブロックチェーン
- Availはデータ可用性をオフチェーン (Ethereumの外)に切り出すことで、スケーラビリティと低コストを提供
- Celestiaと比較して、耐障害性や分散性が高い一方で即時のファイナリティという側面では劣っている
- 報酬付きテストネット (Goldberg) が2023年11月7日より開始
テストネットに参加することにより、プロジェクトについて理解を深め、Airdropの可能性も上がるため
興味を持った方はぜひ参加してみてください。
関連記事